思考と伝達を改めて整理する「5W1H」──情報設計の基本フレームを新規事業に活かす方法
用語解説

思考と伝達を改めて整理する「5W1H」──情報設計の基本フレームを新規事業に活かす方法

新規事業やDX推進、事業企画の現場では、日々数多くのアイデアや仮説が生まれます。
しかし、せっかく優れたアイデアや商品であっても、その価値が十分に伝わらず、ターゲット顧客の心に刺さらない──そんな課題に直面することは少なくありません。

その原因の多くは、情報が断片的で整理されていなかったり、表現が曖昧で具体性に欠けていたりすることにあります。結果として、提案資料はわかりづらく、プレゼンでも魅力が伝わらず、顧客からの共感や納得を得られにくいのです。

こうした状況を防ぐために有効なのが、情報を整理する基本フレーム「5W1H」です。
アツラエではこの手法を活用し、企画やサービスの“価値”を整理・言語化し、資料やプレゼンの段階でターゲット顧客に伝わる形へ変換することを支援しています。

ただし実務の場では「一部の要素だけを強調してしまう」「形式的に項目を埋めるだけ」といった使われ方も少なくありません。だからこそ基本に立ち返り、5W1Hを正しく活用することが、顧客に伝わる企画・成果につながる提案への近道となります。

5W1Hとは?

「5W1H」は、以下の6つの視点から構成されるフレームワークです。

When(いつ):日付、時間、期間など

Where(どこで):場所、接点、シチュエーション

Who(誰が):関係者、チーム、顧客など

What(何を):対象、課題、アクション

Why(なぜ):目的、背景、理由

How(どうやって):方法、手段、プロセス


5W1Hを意識するだけで、伝えたい内容の輪郭が明確になり、「誰に・何を・なぜ届けるのか」が整理できます。


5W1Hを使うメリット

5W1Hは、「思考の整理」に加えて、「伝える力」を高めるうえでも有効です。以下のようなメリットがあります。

・情報の抜け漏れを防げる

 伝えるべき要素が明確になるため、要点を押さえた説明や共有ができます。

・論点が整理され、認識のズレが減る

 背景や目的が明確になるため、共通理解が生まれ、齟齬が発生しづらくなります。

・思考の偏りに気づける

 Whyに偏る、Howが弱い……といった自分の思考傾向を客観視できます。

・さまざまな場面に応用できる

 口頭での会話の他、企画書や議事録、社内報告など、多様なドキュメントにも活用可能です。

・チームでの共通認識がつくりやすい

 誰が見ても理解しやすい情報設計に繋がります。

活用シーンと具体例

アツラエのクリエイティブコンサルティングでは、お客様のアイデアを具体化する際に5W1Hを活用しています。

サービスコンセプトの策定、コンセプト資料の作成、提案資料の作成など、「思考を整理して軸をつくる」ことや、「関係者との共通認識を築く」ことを目的に、アイデアを形にするプロセスで役立ちます。

今回は具体例として、当社サービス「Aileシリーズ」のひとつ「Factory Aile」の使用シーンを想定し、5W1Hで整理してみました。


Factory Aile」における 5W1H の例:

When(いつ):

 夏季の勤務時間帯、特に熱中症リスクが高まる時期

Where(どこで):

 屋外作業現場、空調が不十分な工場や倉庫

Who(誰が):

 企業の管理者、現場の従業員

What(何を):

 熱中症リスクの検知と管理、SOS機能による危険通知

Why(なぜ):

 法規制(改正労働安全衛生規則による、熱中症対策義務化)への対応、

 従業員の安全・健康を守り、安心できる職場環境を実現するため

How(どうやって):

 Apple Watchで心拍や環境データをリアルタイムに取得・通知

このように5W1Hを使うと、読み手・聞き手がすぐに理解できる形に整理され、「情報の抜け漏れがなく、筋道の明確な提案」へと繋がります。


よくある落とし穴と注意点

便利な5W1Hですが、以下のような誤った使い方には注意が必要です。

・目的が「質問すること」になってしまう

 本来の目的は「考えを整理し、伝えること」です。

・Whyに偏りすぎて抽象論に陥る

 目的を深掘りするあまり、行動につながらない議論になりがちです。

・Howが曖昧で行動に移せない

 「どうするのか?」が具体的であることが重要です。

また、5W1Hの順番にこだわる必要はありません。

Whatから入るほうが整理しやすいケースも多々あるため、柔軟に考えてみてください。


まとめ

5W1Hは、シンプルながら思考の整理や伝達力の強化に極めて有効なフレームワークです。

新規事業のサービスコンセプトの整理や資料作成、提案の場面で活用すると、議論がブレず、チームやクライアントとの共通理解を築きやすくなります。

アツラエでも、サービスプランニングやUX設計の初期段階で活用し、課題や提供価値を言語化して資料や体験設計に落とし込んでいます。


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