
ペルソナ設定とは ─ ターゲットとの違いや、設定のポイントについてご紹介
新しいプロダクトの開発や既存のサービス改善において、「誰の、どのような課題を解決するのか」というユーザー視点は不可欠です。しかし、関係者間(企画、デザイン、開発など)で「想定するユーザー像」が異なっていると、意思決定に一貫性がなくなり、プロジェクトの方向性が定まりません。
こうした課題を解決し、チームの共通認識を形成するために役に立つのが「ペルソナ設定」です。
本記事では、UI/UXデザインやサービス開発の現場で用いられるペルソナの基本的な考え方、設定のポイントについて解説します。
ペルソナとは?
ペルソナとは、サービスを利用する「典型的なユーザー像」を、まるで実在する一人の人物のように具体的に描き出したものです。
もともとはソフトウェア開発の現場で、開発者側の都合や思い込みで設計が進むことを防ぐために使われ始めました。現在では、新規事業開発やUI/UXデザイン、マーケティングなど、ユーザー視点の共有が求められる様々な場面で活用されています。
ペルソナを作成する際は、以下のような基本情報を整理します。
- プロフィール情報: 年齢、職業、家族構成、居住地など
- 行動の特徴: 普段の生活スタイル、情報収集の方法など
- 価値観・悩み: 何を大切にしているか、現在どのような課題を抱えているか
また、近年のサービスでは、顧客のより深い課題を理解し、対応することが求められています。そのため、単なるプロフィール情報だけでなく、下記の例のようなペルソナの内面に抱えている詳細な課題や、価値観、目指していること、求めている情報ニーズなど、具体的な情報をより詳細に設定していくケースも増えています。

このように、具体的な人物像を詳細に設定することで、チーム内で「この人(ペルソナ)ならどう感じるか?」という共通のユーザー視点を持つことができ、意思決定のズレを防ぐ「道しるべ」となります。
ペルソナとターゲットの違い
「ペルソナ」はマーケティングなどでよく使われる「ターゲット」と似ていますが、設定の「目的」と「詳細度」が異なります。

- ターゲット
- 製品・サービスが想定する顧客層のこと
- 年齢層、性別、職業、地域などの属性で広く定義
例:「30代の関東在住の会社員」
- ペルソナ
- ターゲット層の中から、代表的な1人を具体化したもの
- 名前や性格、行動パターン、価値観、課題まで詳細に描く
例:「東京都世田谷区在住、32歳女性会社員の田中さん。週末は作り置き食材の調理や家でヨガをして過ごす。情報源はネットニュースで、ITリテラシーは高い。最近の悩みは、現場のミスの対応等、自身のタスク以外の作業が多く発生しており、月末月初になると残業時間が多くなっていること。」
ターゲットは「どのような層に届けるか」を定義するもので、ペルソナは「その層の中の具体的な一人を設定する」ものです。
UXデザインや新規事業の現場では、ペルソナを設定することで、抽象的な顧客像を実感を持って議論できる「リアルな人物像」に変えることができます。
ペルソナの活用場面
ペルソナは、チームで共通のユーザー像を持つためのツールとしても有効です。
- システム開発時、機能やデザインを決定する際に、特定のユーザー像を基準に考えたいとき
- 会議で意見が分かれたとき、「ペルソナの視点ではどちらが適切か」で判断できる
- 開発、デザイン、マーケティングなど、立場の異なるメンバー間でも「共通のゴール(例 田中さんの課題を解決する)」を共有したい場面
また、UI/UXデザインの現場においても、
- 画面の情報量や操作ステップ
- トーン&マナー(見た目や言葉づかい)
- 行動導線(ユーザーがどんな順で操作するか)
などの「判断軸」として、活用することも出来ます。
まとめ
施策を進める際には、「設定したペルソナの課題に適切に対応できているか」という視点が重要です。ペルソナは、ユーザー理解を深め、チーム内で共通の基準を持つための“道しるべ”として活用されます。作成すること自体が目的ではなく、プロジェクト全体で共有し、継続的に活用することで初めて効果を発揮します。
アツラエでは、UI/UXデザインやアプリ開発の際に、このようなペルソナの設定から課題や提供価値の言語化まで、一連のプロセスをサポートさせていただくことも可能です。お気軽にご相談ください。
▼詳しいサービス内容はこちら
