
定量調査・定性調査とは?違いとそれぞれの活用シーンを解説
新規サービスの立ち上げや既存プロダクトの改善を進める際、開発側の経験や仮説だけを頼りに意思決定が行われてしまうことがあります。
しかし、その判断が必ずしも市場やユーザーの実態と一致しているとは限りません。こうした認識のズレは、プロダクトの方向性を誤らせてしまう要因にもなります。
そのため、ユーザーの意見や行動を客観的に把握するための「ユーザーリサーチ」が重要になります。
ユーザーリサーチにはさまざまな方法がありますが、代表的なものが 「定量調査」と「定性調査」です。
ただし、一口にユーザーの声を集めるといっても、調査方法によって得られる情報の性質は大きく異なるため、それぞれの特性を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。
本記事では、定量調査と定性調査の違いと、それぞれの活用シーンについて解説します。
1. 定量調査とは
定量調査とは、アンケートなどを通じてユーザーの回答を数値データとして収集し、統計的に分析する調査手法です。
「1〜5段階評価」や「そう思う/ややそう思う/やや思わない/思わない」といった選択式回答を用いることで、「どれくらいの人が満足しているか」「どの機能がよく使われているか」といった、全体の傾向や割合を把握することを目的として利用されます。
特徴
数値による客観的な把握
ユーザーからの回答を数値として整理することで、ユーザーの傾向を客観的に把握しやすくなる特徴があります。
例えば「使いにくい」という意見があった場合でも、「操作性に満足していないユーザーが全体の60%」といった形で示すことで、問題の大きさを定量的に把握できます。
また、回答者の属性(年代・性別・地域など)と組み合わせて分析することで、どの層に特徴的な傾向があるのかを把握することも可能です。
こうした分析は、ターゲット設定や施策検討の材料として活用されます。
また、定量調査は、同じ設計で継続的に調査を行うことで、時系列での変化や施策の効果を比較しやすいという特徴もあります。
例えば「A案とB案のどちらが好まれるか」といった比較や、「施策導入前後で満足度がどのように変化したか」といった検証などに利用されます。
調査手法の例
・インターネット調査:オンラインでアンケートを配信し、短期間で多くの回答を集める方法
・会場調査(CLT):特定の会場に参加者を集め、試作品などを体験してもらい評価を収集する方法
・ホームユーステスト(HUT):商品を自宅で一定期間使用してもらい、その評価を取得する方法
など
2. 定性調査とは
定性調査とは、インタビューや観察などを通じて、ユーザーの発言や行動の背景にある理由や文脈を理解するための調査手法です。
数値では捉えにくい「なぜそう感じたのか」「どのような状況でその行動が生まれたのか」といった点を明らかにすることを目的としています。
特徴
行動や意識の背景の探索
定性調査では、ユーザー一人ひとりの体験や考え方を丁寧に聞き取ることで、アンケートでは把握しにくい気づきを得られることがあります。
例えば「満足度が低い」という結果が出た場合でも、インタビューを通じて「特定の操作が分かりにくかった」「初期設定に手間がかかった」といった具体的な理由が明らかになることがあります。
このように、定量調査で把握された傾向の背景を理解する手がかりとして、定性調査が活用されることも少なくありません。
定性調査は、新規サービスの企画段階など、まだ明確な答えが定まっていない段階で仮説づくりやアイデア探索に利用できる手法です。
少人数の調査であっても、ユーザーの発言や行動から新しい視点や仮説が生まれることがあります。
調査手法の例
・デプスインタビュー:1対1で行うインタビュー。生活習慣や価値観まで含めて深く話を聞く
・グループインタビュー:複数の参加者による座談会形式の調査
・行動観察調査:実際の利用シーンを観察し、行動の特徴や課題を把握する方法
など
3. 定量調査と定性調査の主な違い
定量調査と定性調査は、目的や得られる情報の性質が異なります。整理すると次のような違いがあります。

定量調査は全体の傾向を広く把握することに適しており、定性調査は個別の体験や背景を深く理解することに適しています。
また、定量調査と定性調査を組み合わせて利用するケースも多く見られます。両者を組み合わせることで、より精度の高い意思決定が可能になるケースもあります。
代表的な活用例としては、定量調査でユーザーの年齢・居住地などの属性や課題傾向を把握し、その特定のユーザーを対象に定性調査を行い、背景を深掘りするなどです。
4. まとめ
ユーザーリサーチを行う際には、「どのような意思決定に役立てたいのか」という目的を明確にすることが重要です。
全体の傾向や規模を把握したい場合には定量調査が適しており、ユーザーの行動や意識の背景を理解したい場合には定性調査が役立ちます。
それぞれの特徴を理解し、状況に応じて適切に使い分けることで、ユーザー理解をより深めることができます。
プロダクトのフェーズや調査目的に合わせて手法を選択することが、ユーザーリサーチを効果的に活用するための基本的な考え方といえるでしょう。
弊社アツラエでは、こうしたプロダクト開発の上流フェーズからのユーザーリサーチ設計や調査実施、インサイトの整理までを支援する「アツラエユーザーテストサービス」を提供しています。サービス検討段階でのユーザー理解や、リリース後の改善に向けたユーザーテストなど、目的に応じた調査設計をご支援しています。
ユーザーリサーチやプロダクト改善に関する課題がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
株式会社アツラエ
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