
サービスブループリントとは? メリットや作成ポイントを初心者向けに解説
新サービスの企画や既存サービスの改善に取り組む中で、「顧客の行動」は整理できたものの、「現場では誰が何をして、どんな運用で回すのかがイメージできない」という壁にぶつかることがあります。
その背景には、サービスを提供する側の業務や裏側で動いているシステムの動きが、十分に見える化されていないケースがあります。
優れた顧客体験を実現するには、顧客のアクションだけでなく、それに応じてサービス提供側がどう動くべきかを俯瞰して整理することが欠かせません。
そこで役立つのが「サービスブループリント」です。
サービスブループリントを作成すると、顧客接点から裏側の業務・システム処理までを一つの流れとして捉えられ、サービスが提供する価値と、それを支える仕組みを具体的に理解することができます。
サービスブループリントとは
サービスブループリントとは、ユーザーのアクション(顧客体験)を起点として、
それに対応するサービス提供者のアクション(表舞台・舞台裏)、
およびそれらを支えるシステムの動きまでを、時系列で可視化した設計図です。
レストランでの体験を例に挙げると、以下のような図で表されます。

「入店し、予約を伝える」という顧客のアクションに対し、接客担当者の「挨拶」や「席への案内」といったアクションが紐付きます。
さらにその裏側では、予約内容の確認といったバックステージのアクションや、「予約管理システム」というプロセスが連動しています。
このように、顧客の目に見える範囲(オンステージ)と、目に見えない範囲(バックステージ、プロセス)を分けて整理するのが特徴です。
サービスブループリントのメリット
サービスブループリントを作成する主なメリットとして、以下の3点が挙げられます。
① 実務レベルでの課題抽出が容易になる
顧客の導線だけでなく、従業員の動きやシステムの挙動までを統合して可視化します。
これにより、顧客視点だけでは見落としがちな「現場の負荷」や「システムのボトルネック」など、実務上の課題を特定しやすくなります。
② 組織全体で共通認識を形成できる
サービス規模が大きくなるほど、自身の担当範囲外の業務が把握しにくくなります。
全体像を定義することで、各部門の業務がサービス全体のなかでどのような役割を果たしているかが明確になり、
部署を横断したスムーズな連携が可能になります。
③ サービス提供の効率化と品質の安定化を図れる
プロセス全体を俯瞰することで、重複している作業や不要な待機時間を客観的に把握できます。
リソースを最適に配置し、どの担当者が対応しても一定の品質でサービスを提供できる体制を整えるための判断材料となります。
サービスブループリントの4つの構成要素
サービスブループリントは、主に以下の4つの要素で構成されます。
上から順に定義していくことが、作成の基本的な手順となります。
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要素
- カスタマーアクション
ユーザーがサービスの価値を得るまでに実際に行う行動の連なりです。
ユーザー視点で体験を時間軸に沿って整理します。 - フロントステージアクション
ユーザーから直接見える形で行われるアクションです。人による接客だけでなく、UIの反応や自動通知なども含め、
「ユーザーがサービスとして受け取っている」と感じるすべての反応を記載します。 - バックステージアクション
ユーザーの目には触れないものの、フロントステージを成立させるために行う業務(例:調理、在庫確認、サポートへの情報共有など)。 - プロセス
サービス提供を成立させるために裏側で稼働するシステム処理や、
他部署や外部からの支援、組織的なルール(承認フローや外部委託など)を指します。
サービスブループリントを作成する際のポイント
1. 顧客視点を忘れない
サービス全体を俯瞰することが目的ですが、一番大切なのは「顧客の視点」です。
そのためカスタマーアクションから順番に作成を進めましょう。
そうすることで、すべての業務が「顧客のためにどう動くか」という視点に基づいたものになり、全体像を正しく捉えることができます。
また、あらかじめカスタマージャーニーマップを作成し、それをベースにして書き進めるのも効果的な方法です。
2. 図を使って可視化する
サービスブループリントは、図として目に見える形にすることが重要です。
文章だけでは、人によって解釈が分かれてしまい、チーム全員で同じイメージを持つことが難しいためです。
作成には「FigJam」や「Miro」といった、オンラインで図が書けるツールの活用がおすすめです。
こうしたツールを使えば、作成中のちょっとした気づきや議論の過程を「付箋」として残しておくことができます。
このようなメモは、後で内容を更新する際や、新しいアイデアを出すための貴重なヒントにもなります。
3. 情報を付け加えて分かりやすくする
基本の図に、以下のような情報を追加することで、より内容を詳しく表現できます。
・矢印
アクションの順番や関係性を示します。どの業務がどこに繋がるのかが明確になります。
・時間軸
作業にかかる時間や待ち時間を記載します。どこで時間がかかりすぎているかを見つけるのに役立ちます。
・規則・ルール
コンプライアンスや個人情報保護の規定など、守るべきルールを書き込みます。
・感情
その時のユーザーの気持ちを記載します。どの段階でストレスを感じやすいかが一目で分かります。
・指標
数値的な目標を記載します。具体的な目標があることで、運用の改善がしやすくなります。
カスタマージャーニーマップとの違い
なお、サービスブループリントと混同されやすいものに「カスタマージャーニーマップ」があります。
カスタマージャーニーマップが「顧客が何を感じ、どう動くか」という体験の質を掘り下げるのに対し、
サービスブループリントは「その体験を支えるために、誰が・何が・どう動くべきか」という
提供側の仕組みを構造化する役割を担っており、それぞれ目的が異なります。
まとめ
サービスブループリントは、顧客の体験と、それを支える業務やシステムのつながりを可視化するための強力なツールです。
サービス全体を俯瞰することで、現場の課題解決や、チーム内でのスムーズな共通認識の形成に役立ちます。
新サービスの企画や、既存サービスの改善を検討する際は、ぜひ本記事の内容を参考に作成してみてください。
アツラエでは、サービスブループリントの作成をはじめとするPoCフェーズのご支援もしています。
サービス設計や検証における課題がございましたら、まずはお気軽にお問い合わせください。
